瀬戸内寂聴さんが89歳で泉鏡花文学賞に輝いた短編小説集「風景」の単行本の帯には「最後の自伝的小説」の文字が躍った。しかし、90代も寂聴さんは書きに書いた。一周忌に合わせ今年9月末に出版された短編集「あこがれ」は、亡くなる1カ月半前まで文芸誌「新潮」に連載した作品をまとめた本当の「最後の短編小説集」となった。

 寂聴さんの最晩年の原動力になったのは、若い秘書の存在だった…