さまざまな角度から見た一つの風景や植物を、一枚の絵として組み合わせたアクリル画を描いている。細部まで丁寧に描き込み、時間や光の変化を表現。作品の中に、土地と共に生き、生きるものが輝く一瞬を大切にする日本人の精神文化も込めている。

 海外で初めての個展となった昨年のパリ個展では、光に輝く桜や、朝の神々しい空気に包まれたハス池などを描いた約20点を展示。「多様な人々が集うパリで、自分が日本人ということをあらためて自覚させられた。これからも、日本人ならではの情緒や、ものの見方を作品に込め続けたい」と話す。

 絵を描くのが好きで中学、高校と美術部に所属。徳島大で平木美鶴教授に師事し、アクリル画を志した。卒業後、大阪市内でメーカーに勤めるなどして結婚。兵庫県西宮市に移った。

 2008年以降、2人の子どもを出産しながらも創作活動を続けた。13歳の時に父茂文さんを亡くし、「一度きりの人生。自分のやりたいことをやり抜きたい」との強い思いを持った。「3カ月絵筆を握らなかったら感覚を取り戻すのに3年かかる」。平木教授から、こう教えられたのも原動力になっている。

 09年には若手を対象にした昭和会展で大賞、二紀展で一般最高賞の二紀賞を受賞した。賞を受けて有名画廊から個展を打診されたが、育児をしながら作品が制作できるかどうか悩んだという。しかし画廊の協力を得て個展を実現。「画廊の心意気に感謝するとともに、自分も頑張らなくてはと思いました」と振り返る。

 古里へは頻繁に帰省している。「広い空や夕日に映える雄大な吉野川など身近な美しい風景は都会にはない徳島の財産。絵を描いていると、特にそう感じます」。

 みなみ・えり 藍住町出身。城北高校、徳島大総合科学部卒。メーカー勤務などを経て、結婚。東京、大阪で個展を開いたり、グループ展に参加したりしているほか、2014年秋にはフランス・パリで初めての海外個展も開催。二紀会準会員。兵庫県西宮市在住。32歳。