マラソン4勝目を地元コースで挙げた主役に充実感が広がった。大差をつけられ2位に終わった前回の雪辱を果たし「昨年より3分早いタイムで勝ててよかった」。練習拠点の徳島市陸上競技場で行われた表彰式では1年越しの金メダルを胸に、晴れやかな表情で喜びを語った。
 
 徳島東工(現徳島科技)高時代は全国大会に出場できなかったが、四国電力陸上部に進んでから成長を遂げた。しかし、社会人9年目の2013年、会社の経営合理化に伴い、陸上部が廃部に。本格的にマラソンに取り組もうとしていた時期だっただけに「ショックは大きかった」。その後は市民ランナーの道を選び、徳島市内で一社員として勤務する傍ら、県内外のレースに参戦。「完全燃焼できなかった思いが今のモチベーションになっている」と語る。
 
 練習量は実業団時代に比べて6割ほどに減ったが、12年に結婚した健康運動指導士の佳那さん(35)の支えもあって最盛期の走りに近づきつつある。1年ごとの目標を設定し、筋力トレーニングや体のケアも計画的に行うなど質の高い練習が積めている。栄養面でも1日60品目を目標とした食事でサポートしてくれる愛妻のおかげで「大きなけががなくなり、結果が出ている」と感謝を忘れない。
 
 新婚旅行を兼ねてホノルルマラソンに出場するほどの陸上好きは「今は走るのが楽しい」。レース後、苦しい時に何度も沿道から励ましてくれた妻から祝福を受け「また頑張る元気が湧いてきた。来年はもっとタイムを伸ばす」。二人三脚のレースはこれからも続く。徳島市国府町矢野の自宅で2人暮らし。29歳。