大阪城近くにある専門学校・大手前栄養学院の教授として栄養学研究と学生の指導を行う。同じ学校法人が運営する大手前大や大手前短期大でも非常勤講師を務める。
 
 研究では、特定保健用食品(トクホ)開発企業からの実証実験が多い。高濃度茶カテキン飲料や糖の吸収を穏やかにする食物繊維の摂取による患者の血糖値・体脂肪の改善効果などを調査。カロリーや塩分の抑制といった食事指導にも意欲的だ。
 
 「食事指導は無理をさせても続かない。遺伝や体質から、自分がどんなタイプかを知ってもらってから取り組んでいます。トクホの研究もその効果を活用することで、無理なく健康づくりに役立ててもらえれば」
 
 甲子園大栄養学部に在学中、高寿命の隠岐・西ノ島に食物の調査に行ったり、恩師に臨床検査の手法を学んだりして、人の健康を支える栄養学の魅力を肌で知った。
 
 管理栄養士として就職した伊丹病院では、献立の作成だけでなく、経営状況にも関心を持ち、備品の効率的な管理やメニューの改善などを進めた。さらに、先進的な病院医師らと早くから糖尿病教室に取り組み、患者と家族らでつくる糖尿病友の会支部も組織した。「どれも貴重な経験になった」と振り返る。
 
 教授として転身した大学や専門学校では、学生に対して結婚・出産後も仕事を続けることの大切さを説く。栄養士は看護師や薬剤師と比べて、途中でやめてしまう人が多いからだ。「経験がプロを育てると思う。本当にもったいない」と力説する。
 
 古里へは徳島市出身で薬剤師の妻、孝江さん(66)と帰省する。「吉野川橋を渡って眉山を見ると、帰ってきた気持ちになります。いつも温かく迎えてくれる。ホッとします」。

 やまもと・くにお 徳島市出身。徳島市立高校、甲子園大栄養学部卒。1973年に管理栄養士として伊丹市立伊丹病院に入り、職員時代に甲子園大大学院(栄養学)を修了して退職。2003年から甲子園大栄養学部助教授、教授を務め、14年4月から現職。博士(栄養学)。兵庫県宝塚市在住。66歳。