普段は入れない場所の見学や職場体験ができる子ども向けのイベントが徳島県内で盛んに行われている。舞台となっているのは、ダムや高速道路の大型公共施設をはじめ、県議会議事堂や動物園、図書館などさまざまで、特に参加しやすい夏休みは活発に開かれている。事業や社会への理解に役立ててもらうとともに、少子化が進む中、それぞれの分野を担う人材確保の側面もありそうだ。
川口ダム(那賀町)を管理する県企業局は昨年9月から、同ダムと、隣接する自然エネルギーミュージアム、長安口ダム、日野谷発電所を巡る「スマート回廊探訪ツアーデイ」を毎月第4日曜日に各日4回開いている。
22日に行われた4回のツアーには、親子連れら44人が参加。ダムや発電所の内部を見学し、水力発電の仕組みやエネルギー、環境問題について学習した。県企業局経営企画戦略課は「実施している事業や取り組みを知り、自然エネルギーについての関心の芽を育んでもらえれば」としている。
8月の毎週木曜日には川口ダムの施設見学会、8月19日には体験教室を併せて行う「とくしま自然エネルギー探検隊」を実施する。
NEXCO西日本(大阪市)は「なるほど!高速道路発見」と題し、2014年から管区内の現場見学会を行っている。生活や経済を支える高速道路がどのように造られ、管理されているのかを伝えるのが目的。55回開かれ、計1145人が参加した。
今夏には夏休み企画として県内で二つの催しを開く。7月25日には、建設が進む四国横断自動車道・吉野川大橋(仮称)の工事現場を見て回った。8月24日には、関係者以外は立ち入りできない場所で道路の維持管理のための大型機械や特殊車両などを見たり、乗車したりする。
中学生を対象にした体験会を16年度から開いているのは、県議会だ。議事堂を見学した後、議員と意見交換会などを通して政治について学習する。選挙権年齢が18歳に引き下げられたことを受けて、未来の有権者が議会の仕組みを学ぶ。今年は7月27日に行われた。
とくしま動物園北島建設の森(徳島市)は、現在の場所に移転開園した1998年から小学生高学年向けの体験学習「サマースクール」を3日間催している。飼育員の仕事である餌の調理や獣舎の清掃などを体験する。同園は「動物や動物園に親しんでもらい、動物愛護精神の啓蒙につなげたい」とする。
このほか、徳島市立図書館は7月21日、地下書庫や返却ポストの裏側、作業室などを巡り、ブックフィルムコートを実際に貼る体験ツアーを行った。県立博物館(徳島市)は、閉館後の博物館を堪能できる「夜の博物館ドキドキ体験ツアー」を8月11日に、バックヤードを見学する催しを8月19日に開く予定だ。