徳島の海の安全を守る徳島海上保安部で職員76人を束ねる。海難救助や船舶の事故防止、環境保全、密漁取り締まりなど、職務は幅広い。保安部の力を最大限に発揮するため、チームワークを大切にするよう訓示した。

 徳島への赴任が決まり、まず頭に浮かんだのは南海トラフ巨大地震。人命救助や海上の物資輸送など、災害時に徳島海保が担う役割は大きい。年々、危機感が高まる中「チーム力を上げるため、訓練を重ね備える」と力を込める。

 神奈川県横須賀市出身。高校時代に「海に関わる仕事がしたい」と漠然と意識し始めた。ちょうど書店で海上保安官募集の案内を見つけ、進路を決めた。保安官の道を歩み30年余りになる。海の安全を最前線で守る仕事への情熱は衰えない。

 これまでの勤務で最も印象深いのは、沖縄県の中城海上保安部時代。巡視船の航海長として、魚釣島周辺に現れる中国公船と対峙した。夜中の真っ暗な海で巡視船のかじを取り、中国船を島に近づけないよう並走。事故が起これば国際問題に発展しかねない中での操船だった。緊張は頭で意識していなかったが「足は震えていた」と明かす。

 徳島での勤務は初めて。「暖かくて気候がいい」と好印象を持ち、徳島ラーメンや新町川周遊クルーズなどにも興味を持った。地域の名所や催しにはできるだけ足を運ぶつもりだ。

 千葉県柏市の自宅に妻と3女を残して単身赴任した。趣味は読書。職場近くの小松島市立図書館に早速通い始めた。53歳。