本番に向けて練習に汗を流す池住千里さん、はづきさん夫婦=徳島市の徳島中央公園

 「将来、子どもができたら家族みんなで阿波踊りを踊ってみたい」。共にほんま連の連員で6月に結婚した池住千里さん(26)=松茂町広島、理学療法士=と、はづきさん(25)=歯科衛生士=夫妻は口をそろえる。

 先に踊りを始めたのははづきさん。踊り好きの父の勧めで、小学5年で有名連に入った。高校受験を前に離れたが、ほんま連の「看板」の一つの女法被踊りにほれ込み、高校1年の時に連員となった。

 はづきさんの法被踊りが板に付いてきた2014年11月、親類の連員に誘われた千里さんが入ってきた。翌年の夏、演舞場で見たはづきさんの男性顔負けの激しい踊りに魅了された。「すごくかっこよかった」。徐々に気になる存在となった。千里さんが告白し、15年12月から交際をスタートさせた。

 はづきさんは以前から「結婚するなら踊りのうまい人」と心に決めていた。そんな思いを知った千里さんは稽古に没頭する。「当時は妻はもちろん、連員の女法被の皆さんにも認めてもらいたくて一生懸命に練習した」

 交際を続けながらも切磋琢磨する2人。自然と踊りは上達し、17年からはそれぞれ男踊りと女法被のサブリーダーを務めている。

 昨年の阿波踊り2日目の8月13日。はづきさんの誕生日でもあるこの日、千里さんがプロポーズし、今年6月2日に結婚式を挙げた。日々踊り方をアドバイスし合うなど、新婚生活の話題は踊りが中心だ。

 連が結成50年を迎えた今年、夫婦として新たなスタートを切った。「結婚したからといって踊りに懸ける思いは変わらない。お客さんに喜んでもらえるよう精いっぱい頑張るだけ」。阿波踊りが結び付けた固い絆と深い愛情を胸に、演舞場を沸かせる。