徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

家庭内で発生する熱傷を予防するには子どもの発達段階と熱傷の発生状況の関係を理解することが大切です。

乳児期早期の子どもは限られた範囲しか移動できませんからその熱傷は大人の不注意によるものがほとんどです。

しかし乳児も生後5か月頃になると自分で移動が可能になり、好奇心も旺盛になりますから子どもの周辺に置いた熱いお茶やポットなどに手を伸ばしてひっくり返すことがあります。

さらに生後10か月くらいになるとつかまり立ちやハイハイをするようになりますから周囲に置いた物だけでなく、テーブルの上に置いた熱いものやヒーター、アイロン、ストーブ、炊飯器などの家電製品、灰皿のタバコの火などにも手を伸ばすようになります。

このような事故を予防のためにアメリカではチェックシートが利用されています。

○子どもを抱っこしたまま熱い食べ物や飲み物を扱っていないか。
○テーブルや机の端に、熱い食べ物や飲み物を置いていないか。
○テーブルにテーブルクロスをかけていないか。
○料理中は子どもが台所に入れないような工夫を行っているか。
○発熱する電気製品は子どもの手の届かないところに置いてあるか。
○ストーブやヒーターの周囲で遊ばせてはいないか。

以上のような項目を一つ一つ丁寧にチェックしていくことが事故予防に有効であると考えられています。

徳島新聞2012年4月25日掲載