徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 ワクチン接種後に急変する可能性にはアナフィラキシーショックが最も考えられます。

ワクチンによるアナフィラキシーが発生する可能性がある原因物質には卵関連成分、ゼラチン、チメロサールおよび抗菌薬などが考えられます。特に卵関連成分が問題になるのは麻疹風疹ワクチンとインフルエンザワクチンです。

麻疹風疹ワクチンはニワトリの胎児の線維芽細胞を用いて組織培養して作られますが、卵白アレルギーを起こす程の有意な卵白の蛋白は含まれていません。また我が国のインフルエンザワクチンに含まれる卵白アルブミンの量は数ナノグラムと極めて微量で、卵の加工製品などを食べている場合にはアナフィラキシーが発生する危険性は極めて低いものと考えられます。ただし卵を摂取して重症のアナフィラキシーを起こした子どもにはインフルエンザワクチンを接種することには慎重でなければいけません。接種する場合には少量分割接種するか、皮内テストの結果で判断することになります。

 重症のアナフィラキシーを疑わせる症状には、全身におよぶ蕁麻疹や発赤、浮腫に加えて、咽頭掻痒感や閉塞感、かすれ声、犬吠様の咳嗽、嚥下困難、呼吸困難、喘鳴に加えて不整脈や血圧の低下などがあります。このような症状が見られる時には緊急処置としてアドレナリン(エピネフリン)の投与が急がれます。そのまま放置すれば呼吸停止や重度の除脈、血圧低下、心停止に至ることがあります。

 ワクチンによる副反応の中にはアナフィラキシー以外の様々な事例があります。それぞれの事象を慎重に検討することで、安全なワクチン接種ができるようになります。