徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 一年で最も寒い季節を迎えました。寒い時期にはウィルス感染症がたくさん流行しますから、体力や抵抗力のない子どもにとって寒い時期は一年で最も厳しい季節です。

今月は寒い時期に流行するウィルス感染症の代表であるインフルエンザについて考えてみました。

 現在、ヒトに見られるインフルエンザにはA型とB型があります。A型は表面にある赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれる表面抗原の違いによって分類されています。自然界のHAには16種類、NAには9種類ありますが、人ではそれぞれ3種類のHAとNAがあり、その組み合わせによってH1N1とかH3N2のように分類されています。

2008年シーズン以前にはソ連型(H1N1)、香港型(H3N2)、B型の3種類のインフルエンザが流行を繰り返していました。2009年には世界中で新型インフルエンザが大流行しました(パンデミック)。そのウィルス型はA型のH1N1で、パンデミックA(H1N1)2009と呼ばれ、従来見られていたソ連型は見られなくなり、これが季節性のインフルエンザとして認識されるようになりました。

2009年以降、Aソ連型は見られなくなりましたが、昨シーズンのインフルエンザのウィルス型はA香港型とB型で、A(H1N1)2009もほとんど見られなくなりました。

このようにインフルエンザウィルスは毎年小さな変化を繰り返しながら時折、今までに見られなかったような大きな変化を起こします。そこで次に心配なのがトリインフルエンザのような強毒性の新型インフルエンザが人に流行するようになることです。