徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 インフルエンザの診断法には血清学的、ウィルス分離、遺伝子増殖法、迅速診断キットを使用する方法があります。ウィルス分離は遺伝子型の特定や薬剤耐性を調べるためにはどうしても必要ですが、結果が判明するまでに時間がかかります。一般診療の現場では速やかな結果が求められますから、多くは迅速診断キットが使用されます。

臨床症状だけでインフルエンザを診断していた時代には、突然の発病、38℃以上の発熱、上気道炎症状、全身倦怠感等の全身症状のすべてが揃ったものを臨床的なインフルエンザと診断していました。しかし迅速診断キットが簡単に使用できるようになると、典型的な症状がすべてそろうインフルエンザばかりではないことが判ってきました。

最近のインフルエンザに対する診療の進歩のひとつは治療薬の出現です。内服薬タミフルの他に吸入薬2種類、点滴治療薬も使用できるようになりました。一時、Aソ連型の多くでタミフル耐性ウィルスが問題になりましたが、この時、薬剤の過剰使用が原因ではないかとの指摘がなされました。しかしタミフルをそれ程使用していない地域からも耐性ウィルスが分離されたことから、現在では過剰使用が耐性ウィルスの出現の原因ではないと考えられています。

さらに2009年の新型インフルエンザ流行時に世界中で最も死亡率の低かったのが日本です。このことから早期に抗ウィルス薬を使用することが最も望ましい治療であることに誤りはないと言えるでしょう。

子どものインフルエンザには急性脳症など重篤な合併症があり、熱性けいれんの原因になることも多く、高熱から脱水症を起こすこともあります。やはり適切な診断と早期の治療が求められます。