徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 気管支喘息は発作的に起こる咳、喘鳴、呼吸困難を慢性的に繰り返す疾患です。喘鳴とはゼーゼーとかヒューヒューと云う呼吸音が聞こえる状態で、気道の狭窄がある時に聞こえます。つまり喘息は発作的な気道の狭窄を繰り返す慢性疾患です。今月は気管支喘息について考えてみました。

 一般に喘息の発症にはアレルギー体質と子どもを取り巻く環境要因が関与するものですが、小児期の喘息の中にはアレルギーと無関係な病態が含まれることもあります。喘息はその病態によって経過が異なります。

 喘息の発症年齢は1~2歳が最も多く、2歳までに60%、3歳までに80%が発症すると言われます。最近、喘息の発症年齢が低下する傾向にあり、性別では男子に多く見られます。

 喘息は遺伝的要因と環境要因が絡み合って発病します。両親に喘息があると発病リスクが3~5倍になります。アトピー素因と喘息の発病にも密接な関係があります。アトピー性皮膚炎や食物アレルギーがあると喘息発病のリスクが高くなります。

 環境要因にはダニ、ハウスダスト、イヌ、ネコなどのアレルゲン、RSウィルスなどの呼吸器感染症、屋外の大気汚染、室内の空気汚染、受動喫煙、気象条件などがあります。

 喘息はアレルゲン刺激によって気管支でアレルギー反応が発生し、これが気管支平滑筋の収縮、気管支粘膜の浮腫、気道分泌物の増加を引き起こし、これによって気道の狭窄が起こります。このような気道の狭窄が反復することによって、気道の過敏性を獲得することで気管支喘息の基本的な病態が形作られるのです。