徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 気管支喘息は気道の狭窄と気道の過敏性を共に有する病気です。このような症状を慢性的に反復するのが喘息の特徴で、これは気道の慢性炎症によるものです。

喘息症状が反復しやすいのは気道の過敏性とも関連しています。喘息発作は様々なアレルゲンの刺激によって発現しますが、アレルゲン以外の刺激でも喘息症状が起こります。例えば運動時の速い呼吸や冷たい空気、タバコや花火の煙でも気道の狭窄を起こすことがあります。また原因アレルゲンでもより微量のアレルゲンに対しても発作症状を起こすことがあります。このような気道の過敏性が存在すると少しの環境条件の変化でも喘息発作が発生して、慢性的な喘息症状の持続状態からなかなか抜け出すことが難しくなります。

 喘息の急性期治療の原則は気道狭窄を解除することで、治療には気管支拡張剤を使用します。気管支拡張剤には吸入薬、内服薬、貼付薬、注射薬があり、これを症状や年齢によって使い分けます。

小児の気管支は気道径が狭小であること、気管支平滑筋が薄く喀痰の排出力が弱いこと、気道から粘液の分泌が多いこと、ウィルス感染に罹りやすいことなどの特徴があり、小児の喘息は年齢に特有な因子が多く存在することで、成人の喘息とは取扱いの異なるものが存在します。

小児期の喘息の中には一定の年齢に達すると自然に症状が見られなくなるものや、アレルギー機序を介さない主として感染症罹患後に見られる喘息があります。いずれの場合にも急性期の症状を完全にコントロールすることが大切です。