徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
気管支喘息の特徴は気道の狭窄による症状が慢性的、反復性に繰り返すことです。治療では急性期の咳や喘鳴、呼吸困難を解消するだけでなく、反復する症状を出来るだけ予防することが大切です。
喘息症状の反復を放置すると、気道の過敏性の亢進や、気道の構造変化を来して急性期の治療に反応し難くなり、治癒への道のりがさらに遠いものになります。
喘息の基本的な病態は気道の慢性炎症にありますから、治療としては急性期の症状を完全に抑制することに加えて、反復する症状の再発を出来るだけ予防すること、つまり長期管理が大切です。
気道の慢性炎症に対する長期管理薬としては吸入ステロイド剤とロイコトリエン受容体拮抗薬があります。乳幼児での吸入薬は吸入器やスペーサーなどの道具を使って行う必要があり、ロイコトリエン受容体拮抗薬の内服が簡便で使用しやすい薬剤です。これらの薬剤は慢性炎症を抑制することを目標にしていますから、急性期の症状がなくなっても中止することなく続けます。
長期管理のもう一つの柱は喘息の原因になるアレルゲンの除去です。アレルゲンの代表はダニやハウスダストなどの室内アレルゲンですから、これらを除去するように環境を整備します。これが喘息発作の予防につながります。
喘息の中には自然経過で軽快するものもありますが、成人喘息に移行するものもあります。急性期の治療の徹底、慢性炎症を抑制する治療の継続、環境整備などの長期管理によって予防することが大切です。