本番に向けて練習に励むケイトンさん=徳島市の不動コミュニティセンター

 

 徳島市不動コミュニティセンター(同市不動本町2)に、ぞめきのリズムと威勢のいい掛け声が響き渡る。ひらひらと舞うチョウのように、深紅の扇を巧みに操る踊りが特徴の扇連。昨年12月に入連したイギリス出身のラルフ・ブロックス・ケイトンさん(30)=外国語指導助手(ALT)、同市鮎喰町1=が、ベテランの踊り子から手さばきや足運びの指導を受けていた。

 子どもの頃からインターネットや本を通じて「サムライ(侍)」「ヨウカイ(妖怪)」「カンジ(漢字)」といった日本文化や歴史に興味を持っていた。昨年8月に来日。城西高校や吉野川高校などで教壇に立ち、この年、県内在住外国人らでつくる「あらそわ連」に加わって演舞場に踊り込んだ。「徳島に来て初めて阿波踊りを踊ったけど、めっちゃ楽しかった」

 「歌の国」として知られる英南西部ウエールズの町クラロで生まれ育ち、10歳からピアノを習った。来県後に作った名刺にはピアノのイラストを添え、名前には「楽流譜(ラルフ)」という漢字を当てるほどの音楽好き。「ぞめきのリズムにはとても歴史を感じる。聞いていると楽しい気持ちになるし、大好きだ」とほほ笑む。

 扇連の連員でもある同僚教師に誘われて入連し、毎日のように練習に参加している。「腰を低く落とすのが難しくて大変だけど、丁寧に教えてくれるから頑張れる」

 石川正豊連長(39)は「連員たちはラルフと積極的に交流し、英語力のスキルアップにもつながっている。本人も真面目に練習に取り組んでおり、本番が楽しみ」と話す。

 今夏、有名連の一員として初舞台を踏み、連員の中でもひときわ大きい体でダイナミックな踊りを披露する。ケイトンさんは「本番が近づくにつれて緊張してくるけど、見ている人が笑顔になれるよう一生懸命に踊りたい」と意気込んだ。