徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
咽頭結膜熱はアデノウィルス感染症の代表的な疾患ですが、一般にはプール熱と呼ばれます。これは汚染されたプールの水で集団発生したことからプール熱と呼ばれるようになりました。またプール熱はヘルパンギーナや溶連菌感染症と共に夏季に流行する夏かぜのひとつです。
プール熱の主な症状は発熱、咽頭炎、結膜充血の3つです。咽頭炎には咽頭発赤や咽頭痛が見られます。昔はプール熱の診断はこの3つの臨床症状で行われましたからプール熱と診断されたものの中には不確実な症例が含まれることがありました。最近は迅速診断キットを利用して正確に診断できます。
プール熱の潜伏期間は5~7日です。ウィルスは鼻咽頭や結膜から直接侵入して感染します。プールの水がウィルスで汚染されていると粘膜から直接ウィルスが侵入しますから集団発生することがあります。
発病するとウィルスは気道や結膜から排出されます。さらにウィルスは腸管で増殖して糞便中に多量排泄されます。従ってウィルスは鼻咽頭から飛沫感染し、結膜からは接触感染を、腸管からのウィルスによって経口感染も起こります。
プール熱の発熱は比較的高熱で、3~7日間持続します。その他の症状には咳や鼻汁、頭痛、眼痛、食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢などが見られます。
アデノウィルスは感染力がとても強いので、ウィルスの付いた手指や器具からも簡単に伝染します。手洗いやうがい、眼の洗浄、手指の消毒などをして感染を予防することが大切です。