徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
家庭で飼育されているペットにはごく一般的なイヌ、ネコから小鳥、ネズミ、ウサギ、カメなどの爬虫類や熱帯魚など様々な動物があります。これらのペットは様々な病原体を持っていますから、抵抗力の弱い子どもには重い感染症が起こる可能性があります。
今月は家庭内で飼育されているペットによる感染症について考えてみました。
15歳未満の子どもの数が1649万人と毎年減少しているのに対して、ペットの代表であるイヌ、ネコの飼育総数は約2000万頭と推定されています。日本では子どもの数よりもペットの数の方が多いのです。
ペットは日常生活の中で子どもたちに生命の重要性を教えてくれ、人々の気持ちをなごませてくれるものです。家庭内では家族と同じ様に取り扱われることがあります。しかし動物はそれぞれ特有の病原体を持っていることがありますから、「人とは違う」という認識を持って付き合う必要があります。同じ食器を使ったり口移しに食べたりすると病原体に感染する危険性が高くなります。
さらに家庭内でペットを扱うように野生動物に接すると、ペットにはない危険な病原体に感染することがあります。日常的に親しんだ動物でも人とは違うということを頭に置いて動物と接触することが大切です。動物を飼育するには、どのような病原体の可能性があるのか正しい知識を持つ必要があります。
社会環境の変化によって動物と人間の関係も大きく変わってきます。動物と人の間にはある程度のバリアが必要で、正しく接触することで動物から伝染する感染症を予防することが大切です。