夢中になるのは「知れば知るほど奥深いから」と話す久米さん。

夢中になるのは「知れば知るほど奥深いから」と話す久米さん。

【フラメンコ】久米麻由美さん(46・徳島市出身)

 床を踏み鳴らし足拍子をとるサパテアードが情熱的に、ときに叙情的に響きわたる。山田のど香さんが主宰するフラメンコスタジオ「ラ・クラベリーナ」のレッスンが始まると、フロアはたちまち熱を帯びていく。「踊りきったときの達成感がたまらないんです」と瞳を輝かせるのはフラメンコ歴約2年の久米さん。もともと体力づくりのために始めたという習いごとが、今や「なくてはならない」大切なものとなった。

 「体験レッスンに来たのは雪の降る寒い日でした。専用の靴を貸してもらって、先生に基本の足の動きや手の動きを教えてもらいました。めちゃくちゃ難しいと思ったんですけど、その方がやりがいがあるなとも感じて」と振り返る。簡単な曲からスタートし1曲が踊れるようになると、2021年7月には水都祭でステージデビュー。「舞台に上がる直前まで振りつけの確認をしてました。本番の記憶は…緊張しすぎて覚えてません」とはにかむ。南スペインのアンダルシア地方で発祥したフラメンコ。カンテ(歌)、トケ(ギター演奏)、バイレ(踊り)の3つが揃って成り立つ芸術といわれる。22年10月にはラ・クラベリーナの創立15周年記念発表会が開かれ、スタジオ生たちはカンテとトケの生演奏で踊った。久米さんは4曲に出演。「平日は家で2時間、土日はスタジオで補習。発表会前は部活並みに練習しました」と明かす。終演後には「三位一体となるステージを初めて経験して“人生が変わった”と思いました。会場の一体感がものすごく心地よかった」と微笑む。今後は足の打ち方のバリエーションを増やしていくだけでなく、綺麗に見せる目線や表情も身につけていくことが課題だとか。

 「先生をはじめ、教室で出会った人たちとの関わりが一番の魅力。ただただ踊って笑って一緒に楽しめる。そういう場所ができたことが幸せ。身体が動く限り続けていきたいです」。

>>ラ・クラベリーナ
徳島市南新町2-6(南新町ビル1階)