徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 皮膚は体の表面にあって、外界からの刺激から体内の環境を一定に保つためにとても大切な役割を持っています。今月は皮膚の役割や大切さについて考えてみました。

 人は生まれる前には母親の胎内で羊水に守られています。新生児は出生直後から外界の様々な刺激に曝されます。人を取り巻く環境には物理学的、化学的、生物学的な多くの刺激があります。これらの多くの刺激から体内の環境を守るために皮膚が働きます。

 皮膚が侵されると外界の刺激が直接体内に加わり、体内環境が影響を受けます。

 皮膚の構造は外側から表皮、真皮、皮下組織の3つから出来ています。大人の皮膚は子どもよりも厚いものですが、その違いは真皮と皮下組織が厚いせいで、表皮の厚さにはそれほど違いはありません。

 表皮は基底層、有棘層、顆粒層、角質層の4層から成り立っています。真皮に接する基底層の細胞が分裂して有棘層、顆粒層、角質層へと変化します。角質細胞は表面に行くに従って徐々に細胞の特徴が失われて角化して垢として脱落します。

 出生直後の新生児の皮膚は大人に比べて弱い状態ですが、生後2週間頃にはほぼ大人と同じくらいの強さになります。

 皮膚の機能の中でも表皮の最外側の角質層の役割が大切です。特に角質層の水分保持機能が重要で水分保持の他に電解質維持、体温調節、病原菌に対する抵抗力などの役割を担っています。