徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 皮膚は体内の環境を一定に保つためにとても大切な役割を担っています。皮膚に異常があると食物アレルギーが発生しやすくなると言われます。皮膚を良好な状態に保つことがアレルギー疾患の予防につながることがあります。

 アトピー性皮膚の多くは食物アレルギーと関係しています。食物アレルギーは特定の食物を摂取した時に様々なアレルギー症状が見られる病気です。このようなアレルギー反応は特定の食物を摂取することにより感作され、アレルギー反応が成立し、次に同じ食物を摂取した時にアレルギー症状が見られるものです。特有の皮膚症状が見られるものをアトピー性皮膚炎と言います。

 しかし食物アレルギーの発症については経口的に食物を摂取することで起こるものばかりでなく、皮膚に付着した食物によって感作されることがあります。障害された皮膚からは食物が吸収されやすく、経口的に食物抗原を摂取した場合よりも抗原に感作されやすくなることがあります。

 口から食べた食物が腸管で吸収される時に食物でアレルギー症状が現れることはほとんどありません。腸管には免疫寛容と言う現象があるため、異物である食物に対してアレルギー反応を起こすことが強く抑制されているのです。

 これに対して病的な皮膚に食物が付着すると、そこから食物が吸収されて直接血管内に吸収されると、食物は異物として認識されアレルギー反応が起こりやすくなります。食物を皮膚につけないことや皮膚を出来るだけ健康な状態に保つことがアレルギーを予防する上で大切なのです。