行き交う屋形船の照明が、川面に色鮮やかな軌跡を描いた=東京都中央区と江東区境の隅田川から(日没後、約1時間半の間に撮影した写真40枚を合成)

 江戸・東京は水の都。春は花見、夏は花火見物と、暖かくなるにつれ人々は誘われるように水辺に繰り出してきた。涼しい風が吹き始める夕暮れに隅田川に架かる橋から南の方を望むと、林立する高層マンションを背景に色鮮やかな照明に彩られた屋形船が次々と行き交う。

 周辺には38業者約100隻が集まる。中でもひときわ目立つピンク一色や虹色の船を運航するのは江戸時代から続く船宿・三浦屋(東京都台東区)だ。

 「見ているだけで乗りたくなるでしょう」と新倉健司社長(55)。今では一般的となったLEDによる屋形船の電飾を2005年から他に先駆けて始めた。「お台場など東京の夜景は年を追うごとに派手になってきた。船も負けてられないからね」

 浅草橋から東京湾まで隅田川を片道約10キロ、約2時間半かけて往復するのが定番コース。川面で揺られる宴のひとときは、建設が進む五輪施設や豊洲市場など変貌する東京を感じられる船旅でもある。(写真と文・内山田正夫=東京新聞)

   ■   ■   ■

 私たちの身の回りを彩る「色」。衣、食、工業製品、自然・・・など、あらゆるものに色はあり、暮らしに溶け込んでいる。全国各地で象徴的な「色」を地元紙が写真に収めた。