徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 子どもが集団生活を送る保育園で一人でも伝染力の強い感染症が発生すると大勢の子どもたちに感染が拡大する危険性があります。麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜ、百日咳、インフルエンザ、プール熱、結核などは登園に際し医師の診断・治療や治癒の証明が求められます。

これに加えて溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、手足口病、ヘルパンギーナ、リンゴ病、ウィルス性胃腸炎、RSウィルス感染症、突発性発疹症なども集団生活の中でもよく見られる疾患で確実な診断や治療が必要です。

溶連菌感染症は抗菌剤投与後1~2日間経過していること、マイコプラズマ肺炎では発熱や咳などの症状が治まっていること、手足口病やヘルパンギーナは熱が下がって普段の食事が摂れること、リンゴ病は全身状態が良いこと、RSウィルス感染症では呼吸器症状が治まり全身状態が良いこと、ウィルス性胃腸炎では嘔吐や下痢が治まり普段の食事が摂れること、突発性発疹症は熱が下がって全身状態が良いことなどが登園の基準になります。

保育園に入園する前に出来る予防接種はすべてしておく必要があります。罹ると大変重い症状が出る疾患や罹っても治療法がない疾患に対する予防接種はとても大切です。

 予防接種の中には国が定めた定期予防接種だけでなく、個人の責任で行う任意接種があります。任意接種は任意だから実施しなくても良いと意味ではありません。定期接種も任意接種もワクチンの重要性について違いはありません。ワクチンで予防できる病気には絶対罹らせてはいけません。可能なワクチンは出来るだけ保育園に入る前に行うべきです。