7月の参院選徳島・高知選挙区で徳島県内の投票率は45・72%となり、2019年の前回に続いて全国最低となった。選挙関係者は低投票率の要因を合区に求めようとするが、それだけでいいのだろうか。
そんな疑問が頭をよぎるのは、最も身近な市町村選挙の投票率こそ、より急激に落ち込んでいるからだ。
過去の統一地方選で行われた市町村議選の平均投票率を見ると、1975(昭和50)年の85・26%から、前回2019(平成31)年は45・42%へと下がっている。多くの候補者がいる市町村議選の投票率が、広大な選挙区で争う参院選と同じ45%台である。
参院選の県内の選挙区では「三角代理戦争」の74(昭和49)年の投票率が最も高いが、それでも78・46%と80%に満たない。低下の度合いは参院選より市町村議選の方が大きい。
こんな状態で身近な行政に民意を正しく反映できるのだろうか。これは民主主義の危機であり、ひいては私たちの暮らしを揺るがすのではないか。
来春の統一地方選に向け、身近な政治や行政にもっと多くの関心を向けてもらい、45%台の投票率を高められないか。「シリーズ45」の第1弾では、多くの人が地方選挙に背を向ける現状を「静かな民意」と題して3回に分けてリポートする。
なぜ下がるのか、誰に聞いても明確な答えはない。
2019年4月の統一地方選で行われた松茂町議選の投票率は43・20%だった。平成最初の統一地方選だった1991年の町議選は82・96%。約30年で投票率はほぼ半分になった…
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