徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 テレビやビデオを子守り代わりに使っていませんか。一般にテレビやビデオを乳幼児の子守りに使うことは有害です。2歳までは家庭のテレビを消しましょう。どうしても育児に必要なテレビやビデオは子どもだけに見せるのではなく、両親と一緒に見ることで短時間の使用に止めます。今月はテレビやビデオ、さらにインターネットや携帯電話、スマホなどのメディアが子どもに与える影響について考えてみました。

 以前の調査でテレビを見る時間が長い子どもほど言葉の発達が遅れるという事が判明しました。乳幼児が1つの言葉を獲得するには約1年かかります。自分の口から音声を出す、自分の耳で聞く、他人の言葉を聞く、その真似をする、何度も繰り返すことでやっと正しい言葉を話すことが出来る様になります。

言葉は単なる音声ではありません。言葉で考えて理解します。言葉を話すためには聴力や音声を発する力が必要なことはもちろんですが、知能やコミュニケーションをとる能力も大切です。

知的な発達や社会性の発達にも言語は欠かすことが出来ません。会話をする時に、人は相手の顔を見ながらコミュニケーションを取ります。その表情を読みながら言葉を口にします。

人の話を聞く時には相手の表情を見ながら相槌を打つと話しやすくなります。メディアの画面を見たままではコミュニケーションを取ることが出来ません。授乳中にテレビやスマホの画面を見ていては、母親と子どもの良好な関係を築くことは出来ません。授乳などの大切な育児中にはテレビもスマホも消すことが大切です。