徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 メディアが子どもたちに悪影響を及ぼすことが懸念されています。最近、特に子どもたちの間にネット中毒やネット依存症と呼ばれる状態が増加しています。テレビやビデオだけでなく、パソコンや携帯電話からスマホに至るまで、我々の周囲にあるメディアはこの数年著しい発展を遂げています。便利で手軽に使用できる反面、その危険性がごく普通の子どもたちに及ぶことになります。

 メディアに長時間接する生活は生活習慣が確立していない乳幼児には取り返しのつかない影響を及ぼすことがあります。

 人の生活は昔から、朝日が昇るとともに起床し、活動し、日没とともに就寝することを基本としてきました。しかし現代の生活では、夜間にも昼間のような明るい環境の下で生活を送ることが一般的になってきました。夜間にシフトした生活が乳幼児の間でも珍しくない状況では、人本来の生理的な現象が大きな影響を受けることになります。

 健全な乳幼児を育てるためにはまずテレビやビデオを消すこと、パソコンやスマホの画面を見ながら授乳や育児をすることを止めること、夜どんなに遅くまで起きていても翌日には日の出頃に起こして朝日を浴びること、朝食をしっかり食べること、昼間は日の光を浴びながら外でしっかり体を動かすこと、昼寝をする場合には夜の眠りの邪魔にならないよう早めに切り上げること、どうしてもゲームをやりたい場合には時間を決めて短時間に、出来るなら親と一緒にすること、安易にゲームやパソコン、スマホを与えないこと、これらを守る生活が出来れば、メディア漬けの生活では得られなかった生き生きとした毎日が送れることは間違いありません。