徳島市八万町の文化の森総合公園の入り口近く、県立図書館の隣にある「猫神さん」こと王子神社。猫をモチーフにした御朱印やお守りを授かることができ、境内では神社猫がお出迎えしてくれる。

 「開運合格」や「商売繁盛」などに御利益があるとされ、受験シーズンには多くの受験生が訪れて合格を祈願している。全国の猫好きにも人気のスポット。バイク愛好家たちが全国各地の歴史ある神社仏閣を巡る「疾風巡拝」の場所としても知られるようになった。

12月の御朱印のデザイン

 猫のデザインが施された御朱印(初穂料300円)は宮司がイメージを考えて作家に依頼しており、月ごとに変化を楽しめる。12月のテーマは「年末」。猫が打った年越しそばを今年の干支(えと)の寅(トラ)と、来年の干支の卯(ウサギ)がすすっており、晴れやかな気持ちで新年を迎えられる。

 神社で飼われている猫は5匹。そのうち4匹が境内にいる。茶トラのうにちゃん、ぶち猫のもーちゃん、黒猫のくろちゃん(いずれもメス)、キジ白のおこげくん(オス)だ。どの猫も人なつっこくて参拝客になでられたり、写真を撮られたりと人気者。最近は寒いため、社務所内でゆっくりしていることが多い。よく御朱印の赤や青色のインキの上でゴロゴロしているため、さわる際にはインキが手に付かないかご注意を。

うにちゃん(♀)
もーちゃん(♀)
くろちゃん(♀)

 残りの1匹は左右の色が違うオッドアイと呼ばれる瞳を持つ白猫の「しろ」ちゃん(オス)。耳が聞こえないことなどからずっと社務所内におり、ガラス越しに見ることができる。

 参拝時間は午前9時から午後5時まで。御朱印の受け付けは午前9時20分から午後4時40分まで。

境内のあちこちに猫がいる王子神社

 王子神社は天照大神(あまてらすおおみかみ)の皇子である天津日子根命(あまつひこねのみこと)を祭り、阿波藩蜂須賀家家老の長谷川奉行家が代々崇敬していた。「猫神さん」と呼ばれる背景は、約300年前の江戸時代に起きた「阿波の猫騒動」がある。

 神社によると、庄屋の娘であるお松が無実の罪で処刑される際、愛猫のお玉に、罪をかぶせた人々へ報復するよう願った。その結果、関係した人々は次々と猫のたたりを受けて不幸に遭った。以降、その魂を沈めるために長谷川奉行家は王子神社にお松とお玉の霊を祭ったと伝えられている。(富樫陸)