日銀は長期金利の上昇を容認するなど、大規模な金融緩和政策の修正に踏み切った。しかし、このまま政策の正常化に向かうかどうかは依然、不透明だ。

 今回の修正では、株価形成機能をゆがめていると指摘される上場投資信託(ETF)の購入配分を見直すとしたほか、マイナス金利の適用も縮小するという。

 黒田東彦(はるひこ)総裁は、修正した理由について「これまで考えられていたより大幅な緩和を長く続ける必要があり、そのことへの信認を確保するためだ」と述べた。

 背景には、国債市場の機能が低下し、地方銀行の収益悪化という副作用を無視できなくなったのも否めまい。

 金利上昇を容認する修正をにらんで、国債市場では国債を売って利回りの上昇余地を試す動きも出ている。

 金融緩和の副作用に配慮しつつ、長期戦への決意を示した今回の決定を、一部の市場関係者は歓迎している。

 しかし、米国の保護主義的な通商政策による貿易摩擦など、日本経済を取り巻く先行きのリスクを考えれば、金融政策の正常化に向けた議論を早急に進めていくことが大切だ。市場の懸念を払拭(ふっしょく)していかなければならない。

 問題は、「出口戦略」について、いつ道筋を明確にするかである。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを続け、欧州中央銀行(ECB)も量的緩和を年内に終了する。政策の正常化に向かう欧米に対して出遅れが顕著になっているだけに、「出口」を見据えた対応が必要だろう。

 黒田総裁は就任直後の2013年4月に、いわゆる「異次元緩和」を導入した。2%の物価上昇は「2年程度で実現できる」としていた。

 だが、緩和策を繰り出しながらも、物価の伸びは限られたもので、目標には届いていない。20年度の予想でさえも1・6%にとどまり、2%達成への懐疑論はさらに強まっている。

 先月発表された6月の消費者物価指数も、生鮮食品とエネルギーを除いた指数は100・9で0・2%上昇したものの、伸び率は5月の0・3%から縮小し、3カ月連続で前月を下回った。

 物価目標の達成時期を巡って黒田総裁は「これまでの想定より時間がかかることが見込まれる」と指摘した。

 緩和の一層の長期化が避けられなくなったことに対応する形で、政策金利の指針となる「フォワードガイダンス」の導入を決めた。消費税増税が来年10月に予定されており、その影響を踏まえ、現行政策の持続性を強化する措置だという。

 修正は延命策にすぎない。金融緩和は限界だとの指摘も少なくなく、その効果はいつまで、どれほど広がっていくのかは見通せない。

 景気が失速するようなことになれば日銀の政策運営はさらに難しくなるだろう。