徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 貧血の症状には顔色が悪い、疲れやすい、立ちくらみやめまい、不機嫌、食欲不振、運動時の息切れや動悸、心雑音などがあります。しかし、これらの症状は急激な血液の喪失に伴う貧血の場合には明らかになりますが、徐々に進行した貧血では症状が現れ難いものです。今月は子どもに多い貧血について考えてみました。

子どもの貧血が起こりやすい時期は乳児期と思春期です。いずれも成長が著しい時期で、赤血球を構成するヘモグロビンを作るのに必要な鉄の必要量が増加します。ここで鉄の摂取量が不足するとか、消費される鉄が増加する、喪失する鉄が増加するなどの原因が発生すると鉄不足による貧血になります。これが鉄欠乏性貧血と呼ばれるもので、貧血の中で最も多く見られるものです。

しかし摂取する鉄が少ないからと言ってもすぐに貧血になる訳ではありません。からだの中の鉄は貯蔵鉄、血清鉄、赤血球内の鉄として存在します。摂取する鉄が不足すると、まず内臓や筋肉内の貯蔵鉄が使用されます。貯蔵鉄が枯渇すると血清中の鉄が利用されます。血清鉄まで減少すると次には赤血球内の鉄が不足して貧血が明らかになります。このような鉄欠乏性貧血では血色素が少なくなり、赤血球が小さくなりますが、初めから赤血球の数が減少することはありません。

貧血を予防するためには鉄の多い食事を摂ることが大切です。貧血の治療としては食事療法と鉄剤投与などの薬物療法に加えて貧血を来した血液喪失などの原因疾患の検索や治療をおこなうことが大切です。