県職員の懲戒処分を発表し、謝罪する県保健福祉部の三好誠治副部長(中央)ら=県庁

 徳島県は2日、医師としての研修と偽って職場を離れ、無断で他の民間病院でアルバイトをしていたなどとして、那賀町に派遣されて町立病院に勤務していた医療政策課の医師小幡史明主任(35)を同日付で懲戒免職にしたと発表した。アルバイトは3年5カ月間で324日に上り、約3800万円の報酬を得ていた。
 
 県によると、小幡主任は同町立の木頭診療所や上那賀病院などに勤務していた2014年10月から18年2月の間、勤務が終わった後や休日に許可を得ずにいずれも民間の県内3病院と香川県の1病院で、外来診療や当直勤務に当たっていた。

 このうち、17年4月から18年2月の間は、へき地医療に携わる医師を対象にした週1回の研修を受けているように見せかけて、アルバイト業務に42日間従事した。同町から支払われたこの間の給与約96万円を不正受給していた。

 匿名の通報を受けた同町から17年12月、県に報告があり、調査した結果、不正行為が発覚した。県の指摘を受けて小幡主任は今年8月1日に不正受給した全額を町に返還した。町は刑事告訴を見送る方針。

 県はこうした行為が地方公務員法の「信用失墜行為の禁止」「営利企業等の従事制限」などに違反するとしている。

 小幡主任は県の聞き取りに「知人から手伝ってと言われてアルバイトするようになった。医療技術を学ぶために行っていた」と話しているという。

 三好誠治保健福祉部副部長らは「研修に行っているかどうか確認が不十分だった。おわびしたい」として謝罪。管理監督責任を問い上司2人を厳重注意処分にした。研修への参加は毎月の報告を求めるなど再発防止策を講じる。

 小幡主任は自治医大を卒業後、10年4月に県職員として採用。県立中央病院などでの研修や県立海部病院での勤務を経て、14~15年度は木頭診療所に、17年4月からは上那賀病院に勤めていた。