関西―九州間の貨物輸送で愛媛、大分両県間の豊予海峡のフェリーを利用し、四国を通るルートを使うトラックが増加している。関西―九州間の輸送は従来、中国地方と九州を結ぶ関門橋を通る陸路を利用するルートが主流だったが、運転手の長時間労働の解消が求められる中で、乗船中に休憩が取れるフェリーの利点が見直されているとみられる。
愛媛県によると、大分県と結ぶ航路がある八幡浜港(八幡浜市)、三崎港(伊方町)でフェリーに乗るトラックの台数が近年増加。2017年は21万3044台と、12年の18万7994台から13%増えた。八幡浜と大分県の別府、臼杵を結ぶ宇和島運輸フェリーは「大分、宮崎のトラックの利用が増えている」という。
この間、徳島自動車道も大型車の通行台数が増加し、17年度は1日当たり1311台と12年度の917台に比べ43%伸びている。15年3月に徳島インターチェンジ-鳴門ジャンクション間が開通し、徳島道の増加分には高松道からシフトした分も含まれるとみられるが、大鳴門橋も通行台数が5年間に9%増加しており、徳島県は九州からの利用が一定程度徳島道の通行台数を押し上げているとみている。
徳島、和歌山両市を結ぶ南海フェリーも長く減少が続いてきたトラック輸送台数が15年度で下げ止まり、わずかだが増加に転じた。九州の運送業者の利用も見られるという。
一方、山口、福岡両県間の関門橋は10年に1日当たり2万5281台だった大型車の通行台数が15年には1万8347台と3割近く減っている。
大分県トラック協会ではドライバーの労働環境の改善のため、フェリーの利用を促そうと13年度に
助成制度を創設した。豊予海峡を結ぶフェリーの利用に片道500円を支給しており、17年は前年を約600台上回る約4100台が利用した。協会の担当者は「運転手の負担軽減は人材を確保する上でも大きな課題。今後も積極的なフェリーの利用を促していく」と話した。
西日本豪雨の影響に関してフェリー会社は「一時的に利用が増えたが、今は元に戻っている」としている。
徳島県は京阪神―九州間の貨物輸送で四国内の高速道路の利用が伸びているとして、安全性などの観点から徳島道の暫定2車線区間を早期に4車線化するよう国土交通省などに要望している。