徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
子どもに事故が起こりやすいのは運動機能の未熟な子どもが予想外の行動をとることが原因です。事故が起これば重い障害が残ることもあり、時には生命に関わることもあります。子どもの周りでは常に「事故は必ず起こるもの」と考えて普段から準備して対応しておくことが大切です。今月は子ども誤飲事故について考えてみました。
乳幼児は色々なものに興味を示して、手に触れるものは何でも口に入れてみます。口に入れたものを誤って飲み込むことが誤飲です。また飲み込むものは異物だけでなく、食物を誤飲することもあります。
飲み込んだものが大きければ気道を完全に塞いで窒息を起こします。飲み込んだものが小さくて気道に入り込めば狭い場所で部分的な閉塞を起こし、異物によってはその周辺で炎症を起こし、気道分泌物の増加や肉芽を形成し、無気肺や肺炎、気管支拡張症の原因になることがあります。
気道異物による呼吸困難の症状は突然に発生します。喉頭や気管の異物で窒息が起これば急激な咳き込みとともに呼吸困難が発生し、気道狭窄の程度によって陥没呼吸、チアノーゼ、意識障害、呼吸停止などが見られます。
上気道で完全な閉塞が起これば体内の酸素は数分以内に消費されて酸素不足のために取り返しのつかない状態に陥ります。
直径4センチ以下のものなら乳児は飲み込む可能性があると言われます。五百円硬貨は直径2.6センチですから十分に飲み込む可能性があります。その他にキャンディやナッツ類など身の回りにあるものは誤飲の可能性があり注意が必要です。