本番に向けて練習に励む井出さん(左)と多田さん=徳島市の阿波おどり会館

 

 有名連のうずき連に、新風が吹いている。多田優花さん(13)=県立川島中1年=と井出丈翔(たけと)さん(12)=鳴門教育大付属中1年=は連にとって5年ぶりの中学生。大人顔負けの踊りを披露し、演舞場デビューを心待ちにしている。

 多田さんと阿波踊りとの出合いは小学校低学年の頃。地元の量販店のイベントに登場した踊り子の姿に心を打たれた。「かっこいい。いつか私も踊りたい」。その思いはどんどん膨らんだ。

 昨年9月、母の知人の連員に誘われて、阿波おどり会館(徳島市)でうずき連の踊りを見学した。一糸乱れぬ女踊りの美しさに息をのみ、その場で連に入ると決めた。

 3歳からピアノを習っている多田さんはリズム感が良く、「ぞめきの軽快な感じが大好き」と話す。うまく踊れずに落ち込んでも「先輩がアドバイスをしてくれるので頑張れる」と前向きだ。

 井出さんは、親類が連長を務める連で5歳から踊り始めた。中学入学を機に本格的に踊りを身に付けようと、今年4月にうずき連の門をたたいた。

 「改めて基礎から学びたかった」と熱心に練習に取り組み、めきめきと上達。表情も豊かになってきた。「稽古では優しく教えてくれることもあれば、厳しい時もある。指先の細やかな動きなど、もっともっと頑張らないと」と汗を拭った。

 ややゆったりとした「粋調(すいちょう)」のお囃子(はやし)に合わせた優雅な女踊りと切れのいい男踊り。中学生コンビは、うずき連の持ち味を体得しようと懸命だ。富本恵美子連長(66)は「若い人の加入で連に活気が出てきた。将来は連を背負って立つ踊り子へと成長してほしい」と期待を寄せる。

 本番(12~15日)まで10日を切った。多田さんは「今は不安だけど、本番まで精いっぱい練習に励む。笑顔を忘れず踊りたい」、井出さんは「緊張すると思うけど、見ている人に踊りの楽しさが伝わるよう楽しく踊る」と力を込めた。