阿波市吉野町に拠点を移した「糸と音」

 子どもたちと大人をつなぎ、仕事や社会の仕組みについて学ぶ場を提供する「糸と音」が、阿波市吉野町に拠点を移して活動している。元保育士の松久保諒さん(32)が2022年4月に徳島市沖浜町で開設し、職業体験やパン、アクセサリー作りといった多彩な取り組みを展開してきた。松久保さんは「子どもが持つ思想は大人にも役に立つ。そのためには世代を超えてつながる場所が必要だと感じた」と思いを語る。

職業体験先のチケットが手に入る「夢ガチャ」

 主な活動の一つが、カプセル玩具販売機(通称ガチャガチャ)を使った「夢ガチャ」。主に職業体験のできる会社や店とその内容が書かれたチケットがカプセルに入っている。200円を入れて回せば大人の世界を体験でき、どこに配属されるかは出てからのお楽しみ。子どもたちに夢や自分の可能性を見つけるきっかけにしてもらう。

 体験先は活動に賛同する事業者が参加しており、過去にはFMラジオのパーソナリティーやカフェの店員などがあった。事業者側にも、子どもの視点や発想が生かせるケースもあり、好評なんだとか。

「ボドゲ学童」で夢中に遊ぶ児童

 二つ目はボードゲームをコミュニティーツールにした「ボドゲ学童」。阿波市の拠点のほか就労支援施設に出向き、徳島大の学生団体などとともに、多人数での遊びを通してコミュニケーションを広げようとしている。主に利用しているのは未就学児や地元の小学生だが、理由があって学校に通えない子どもが来ることもあり、新たな居場所としていきたい考えだ。

 この他にも、子どもたちがおもちゃなどを物々交換する「子どもフリマ」などを実施している。

「糸と音」はスタジオ「おおきくなあれ。」と兼用

 新しい拠点は、阿波市役所吉野支所に近いビルの2階で、12月1日から本格始動した。同じビルには、松久保さんが運営する、子どものかけがえのない瞬間を残す写真スタジオ「おおきくなあれ。」も入っている。

代表の松久保さん

 「糸と音」の名称は「糸を紡ぎ一緒に音を鳴らす」ことをイメージしたという。松久保さんは「つながりを通じて子どもの主体性が向上し、大人が見えない世界観を取り入れて、視野が広まってくれたらうれしい」と語った。(富樫陸)

【店舗データ】
・住所=阿波市吉野町西条字大西57―3
・営業時間=インスタグラムで確認
・定休日=インスタグラムで確認
・駐車場=あり
・問い合わせ=080―2998―4905