徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
子どもは色々なものに興味を示して何でも口に入れます。口に物を入れたままで走り回る、泣き出す、驚いた時などに口の中のものを飲み込んでしまうことがあります。飲み込んだものが気道に入れば気道異物となり窒息の原因になります。
異物が消化管に入れば消化管異物となって、異物の種類によって様々な症状が見られます。何を飲んだのか、どのくらい飲んだのかを正確に知ることが大切です。
誤飲する異物として多いものはタバコ、ナッツ類、コイン、ボタン型乾電池、磁石などですが、身の回りにあるものは何でも子どもの口に入る可能性があります。
胃の中まで落ち込んだ多くの異物は、ほとんどが肛門から排出されます。消化管に入った場合でも食道の狭い部分に詰まると気道を圧迫して窒息の原因になります。胃内まで落ち込んだ異物の中でも先のとがったものや鋭利で消化管内壁を傷つける可能性があるものは摘出する必要があります。
コインや乾電池、磁石のように電気を通すものが消化管の粘膜壁に接着して長く留まると粘膜壁を傷害して場合によると穿孔する危険性があります。従って通電性の高いコインやボタン型乾電池を誤飲した場合にはレントゲン検査でその位置を確認し、その後長く同じ場所に留まっていないかを確認します。もし同じ場所に留まっているようなら速やかに摘出を試みる必要があります。
もし腸管内を移動していればそのまま経過観察して肛門からの自然に排出されるのを待ちます。異物の種類に応じて対応が変わります。