徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 子どもの誤飲事故では誤飲した物質によっては中毒が問題になります。誤飲で注意すべきものには医薬品、タバコ、石鹸、洗剤、殺虫剤、化粧品、衣類防虫剤、園芸用品、文具類、乾燥剤、漂白剤などがあります。

 最も多いのはタバコですが、タバコに含まれるニコチンによる中毒では摂取量によって生命に関わることもあります。ただしタバコはその苦味のために誤飲しても多くが吐き出してしまい中毒量の摂取に至らないことがほとんどです。ただジュースの空き缶に水を入れて灰皿代わりにタバコの吸い殻を投げ込んだものをジュースと間違えて一気に飲み込んだ場合には、水の中に溶け出したニコチンによって急速なニコチン中毒に陥ります。

 ジュースのビンに詰め替えた殺虫剤や農薬をジュースと間違えて飲む子どももあります。こどもはいつも飲んでいるジュースのビンに殺虫剤や農薬が入っているとは思わず、大人はまさか子どもがそれを飲むとは思ってもいません。

 しかし子どもは身の回りにあるものは何でも口に入れる可能性があります。最近の医薬品は子どもの興味を引くような派手な色を避け、取り出しにくい包装に変更されています。ボタン型乾電池の入ったおもちゃや電気器具でも簡単に電池が飛び出さない構造に変更されています。

 乳幼児は生後5か月頃になると体を移動させる様になり、興味のあるものに手を伸ばして誤飲事故が起こるようになります。「事故は起こるもの」と考えて子どもの周囲にある危険なものを片付けて、子どもにとって安全な環境を整備することが大切です。