チームのサポートに全力を尽くす三浦さん㊧と納田さん=鳴門市の鳴門高グラウンド

 全国高校野球選手権徳島大会決勝で鳴門高が2年ぶり12度目の甲子園出場を決めた翌日の7月27日、3年の三浦太一さん(18)は森脇稔監督に監督室でこう告げられた。「3年生で1人だけベンチを外れる。申し訳ない」

 監督室を出た後、ベンチ入りするメンバーが集まる部室を訪れた。「自分の分まで頑張ってほしい」。仲間には笑顔を振りまいたが「ある程度は覚悟していたけど、ショックだった」。

 甲子園でベンチ入りできるのは18人。徳島大会から2人減り、20番を背負っていた三浦さんと、19番だった1年の納田源一郎さん(15)が外れた。2人は甲子園での試合中、ベンチ近くに待機してファウルボールなどを拾うボールボーイを務める予定だ。

 「甲子園でも一緒に戦っている」との思いを込め、同級生で一塁手の庄野蓮汰さん(18)に自身の打撃用手袋を託した。打席に入る前、三浦さんの方を見ると約束してくれている。ボールボーイは声援を送れないため、「気持ちを強く持ってほしい」と拳を胸に当てて思いを届けるつもりだ。

 三浦さんは入部後、出場機会に恵まれず、今年春の県大会決勝で初めて公式戦に出た。無死一塁の場面で代走として送り出され、犠打で二進。続く中前打の間にホームベースを踏んだ。「感動した。勝利に貢献できてうれしかった」。チームへの思いは誰よりも強く、徳島大会では一塁ランナーコーチとして相手投手の癖や配球をベンチや仲間に懸命に伝えた。

 三浦光翔主将(17)は「本人が一番悔しいと思うけど、態度に出さずに練習してくれている。甲子園では太一の分まで頑張る」と語る。

 納田さんは徳島大会では1年生ながらベンチ入りした。何度も逆境に立たされながらも最後まで諦めなかった先輩の姿を目に焼き付けた。「来年は自分がレギュラーとして甲子園でプレーする」と意気込んでいる。

 三浦さんと納田さんは「自分にできることをしよう」と気持ちを切り替え、練習の準備や後片付けに汗を流している。ベンチを外れても願いは一つ。それぞれの役割を全うし、勝利を目指す。

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 第100回全国高校野球選手権大会が5日に開幕する。鳴門高野球部を支える人たちの思いを伝える。