徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
子どもは生後半年くらいまでは風邪をひかないと言われます。しかし子どもは新生児期や乳児期早期でも風邪をひくことはあります。ただしこの時期には細菌感染に対する抵抗力が弱く、細菌感染を受けると重症になることがあり注意が必要です。
とくに生後3か月未満の子どもの発熱は取扱いに注意が要ります。この時期の細菌感染症には菌血症、細菌性髄膜炎、尿路感染症、肺炎などがありますから、細菌感染が疑われる場合には積極的に検査や治療を行います。
細菌感染の原因菌の中では生後28日以内では大腸菌やB群溶連菌が多く、生後29日以降ではインフルエンザ菌(ヒブ)や肺炎球菌が徐々に増えてきます。ウィルス感染の中でも単純ヘルペスは重症化する可能性がありますから、母親や同居人のヘルペスの有無には注意します。生後2か月過ぎの場合にはヒブや肺炎球菌ワクチンの接種も確認します。
生後3か月未満の発熱でも重症細菌感染症の頻度は比較的低く、菌血症で2.4%、細菌性髄膜炎で0.5%、尿路感染症で5.4%、肺炎で3.3%を占めるとされます。したがって3か月未満の児の発熱の原因もそれ以降の乳幼児と同じようにウィルス感染による感冒が最も多いと考えられます。
生後3か月未満の乳児で発熱を示す場合、重症の細菌感染症では急速に症状が悪化することがあります。全身状態が悪い、呼吸や循環器症状に異状がある、外見上ぐったりしている、活気がない、筋緊張が弱い、哺乳力が弱いなど、いつもと違う異常な状態があれば重症の細菌感染症を考え、積極的に検査や治療を進めます。