徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
子どもの発熱に対する処置はその原因によって決定します。解熱処置は対症療法ですから、子どもが辛そうであれば解熱をしても良く、元気そうであれば解熱をせずに経過を観察しても構いません。高熱だからすぐに解熱すべきだとか、微熱だから放置しても良いとは限りません。
発熱に対する一般的な対処の仕方は①全身状態の評価、②体温の調節(保温、クーリング)、③水分補給、④衣服の交換やスキンケア、⑤解熱薬投与の順に行います。
子どもの発熱を見た場合には、まずよく観察して全身状態を把握します。呼吸や循環器症状に問題があれば治療処置を急ぎます。全身状態が比較的安定していれば原因検索に努め、急いで解熱する必要はありません。発熱に伴う症状の有無を確認して、食欲や機嫌、睡眠の良否を評価します。
高熱の出始めには悪寒や戦慄を感じます。このような発熱初期の不快感を取るには保温をします。クーリングは熱が上がり切って子どもが熱さを訴えてから行います。
発汗し始めると熱が下がりますから汗を拭って衣服を乾燥したものに着かえさせます。濡れたままにしておくと体温が下がり過ぎることがあります。
発熱が続くと体力を消耗しますから、脱水症の予防に適切な水分や電解質の補給を行います。食事が摂れるようなら水分の多い消化の良い食物を与えます。
発熱があっても患児が不快な状態でなければ解熱剤は使用しません。どうしても解熱剤が必要な時にはアセトアミノフェンを第一に、次にイブプロフェンを使用します。