徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
熱性けいれんを初めて起こした時に、将来再発するかどうかの可能性を判断することはとても難しいものです。けいれんがおさまったので大丈夫と思って帰宅させると夜中に再発することもあります。
熱性けいれんの中には予防を必要としない単純性熱性けいれんが大多数です。初診時に確認することは基礎疾患の有無です。脳性まひや知能障害、発達障害などの神経疾患を有する場合には熱性けいれん再発の確率が高く、てんかん発症の危険性が高くなります。
けいれん発作が15~20分以上続くものや片側けいれん、発作後に四肢まひを来すもの、24時間以内にけいれんが反復するもの、発作が年間5回以上見られるものは複雑性熱性けいれんとして発作の予防処置が必要です。
単純性熱性けいれんは数分以内に自然に終息し、再発も1回か2回で神経系に後遺症を残すことはありません。従って、再発予防の処置は不要です。
熱性けいれんが反復して起こる可能性が強いのは、初発の熱性けいれんが1歳未満に発生した場合、両親のどちらか、または両方に熱性けいれんの既往を持つなどの遺伝的な素因を有す場合で、予防治療を考慮します。
熱性けいれんを予防する理由は、長時間のけいれん発作やけいれん発作の反復が脳内の海馬と言われる部分の硬化を起こして、二次的なてんかんの原因になることがあるためです。このような二次的なてんかんの予防のために熱性けいれん再発を予防しますが、てんかん素因や基礎疾患のある人では、熱性けいれんの予防をしてもてんかん発症の予防には有効ではないと言われます。