徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
治療が必要な熱性けいれんは再発の危険性が高いものです。神経系に基礎疾患があるものや、1歳未満の発病、遺伝的な素因があるもの、頻回に再発するもの、長時間の熱性けいれんの既往がある場合などは再発の危険性が高くなります。
熱性けいれんを予防するためにはジアゼパム座薬を発熱初期に投与します。発熱初期に微熱(37.5℃以上)を認めた時に速やかにジアゼパム座薬を投与します。その8時間後に2回目の薬剤投与を行います。
熱性けいれんが2年間予防できればジアゼパムの予防投与を終了します。熱性けいれんは1~3歳に最も多く発生しますから、多くの熱性けいれんは5歳頃までに治療を終えることが出来ます。
ジアゼパム座薬を発熱時のみに使用することで熱性けいれんが予防できない場合には、発熱の有無に関わらず抗てんかん剤の内服を1~2年間継続的に行うこともあります。
熱性けいれんは解熱剤の投与では予防できませんが、解熱剤を使用することで熱性けいれんを起こしやすくすることはありません。ジアゼパムを正しく使用していれば、解熱剤は子どもの苦痛を取るのに役に立ちます。
発熱時の感冒症状、くしゃみや鼻水に効果のある抗ヒスタミン剤を使用すると起こしやすくすることがあります。多くの市販の風邪薬の中には抗ヒスタミン剤が入っていますから、熱性けいれんを持つ子に服用させる場合には注意が必要です。
熱性けいれんには再発予防が必要のないものもありますから、いたずらに不安がることなく、危険因子を十分に見極めて対処することが大切です。