感覚が研ぎ澄まされていくような体験だった。サウナーをとりこにする「ととのう」とは、つまりこういうことなのか。とにかく気持ちいい…。2022年11月に誕生した「NATURE HEALING KAMIYAMA(ネイチャーヒーリングカミヤマ)」は、木材を燃やして熱源にする薪サウナの施設。これはフィンランドの伝統的なサウナの手法で、日本ではまだまだ珍しいスタイルだ。
蔵を改装し薪サウナにしたのは「子どもの頃からサウナ好きだった」と言う淺井淳二さん(44・鳴門市出身)。「父親がダイエット目的で自宅に家庭用サウナを設置していたり、近所の東湯(鳴門市)のサウナにしょっちゅう行ったりしてサウナが身近だったんです」。なにより、これまで約二十年間、サウナの設計・施工を手がける愛知県の会社に勤務し、全国を飛び回ってきた。12年前、研修で訪れたフィンランドで人生初の薪サウナを体験。「薪の香り、木の柔らかなエネルギー、すべてに魅せられました。自分が知っているサウナとはまったく違う。いつかこれを日本でやりたいと思ったんです」。とはいえ、消防法的に日本で実現するのは難しいと思っていた。ところが19年、長野県に薪サウナが登場。日本で営業できることがわかり、温めていた夢への挑戦を決めた。
舞台は神山町、築100年になる祖父の蔵だ。豊かな自然に囲まれ、すぐそばには鮎喰川が流れる。淺井さんはこれまで蓄積してきた知識を総動員して、コアなファンにも喜ばれる薪サウナを目指した。蔵には本場フィンランドから輸入したサウナストーブ「HARVIA(ハルビア)」を採用。淺井さんがこまめに薪をくべ、80℃〜90℃に保つ。スモーキーな香りと柔らかな熱気に包み込まれる空間。暑いものの息苦しくないから不思議だ。「蔵は30cm以上ある土壁造りになっていて、その土壁が呼吸しているんです。適度に湿度が保たれるからまろやか。この柔らかな熱がうちの一番の特長です」。蓄熱用のサウナストーンにアロマ水を注ぐロウリュもできる。全身から汗が吹き出し「もう限界ってなってから1分我慢して」という淺井さんの言葉に従って外へ。屋外には熟練の左官職人が手がけた石造りの水風呂があり、そこに張られた井戸水は8℃! 一般的な水風呂は16℃程度というから超絶クールだ。天然の水風呂、鮎喰川へザブンと行ってもOK。山景色を眺望するウッドデッキにはリクライニングチェアが設置され、ここでの自然と一体化するような外気浴が秀逸。サウナ、水風呂、外気浴、これを繰り返していく。「3回目からちょっと違う世界が見えてきますよ(ニヤリ)。言葉では伝えきれないんです。この薪サウナの気持ち良さをたくさんの人に知ってもらいたい」と淺井さんは満面の笑みを浮かべる。
敷地内にはテントサウナやキャンプサイト、民泊エリアまで用意している。夕暮れどきや月光浴をしながら過ごすのも最高だろう。次なる展開として薬草スチームサウナ(蒸し風呂)の導入も計画中だ。「テーマは人生がととのうサウナです」。
サウナは完全予約制。電話かInstagramのDMで受付けている。
【料金】
蔵サウナ(1人3000円/2時間)
テントサウナ(1人1500円/2時間)
※現金支払いのみ
【時間】
蔵サウナ
1部 9:30〜11:30
2部 12:00〜14:00
3部 14:30〜16:30
4部 17:00〜19:00
テントサウナ
1部 9:00〜11:00
2部 11:30〜13:30
3部 14:00〜16:00
4部 16:30〜18:30
【持ち物】
水着、タオル、飲み物 ※有料で貸出や販売あり
NATURE HEALING KAMIYAMA(ネイチャー ヒーリング カミヤマ)
徳島県神山町神領大埜地355-1
080-4226-2714
営業時間=9:00〜19:30(要予約)
定休日=火曜休
駐車場:あり
多機能トイレ:なし
Wi-Fi:あり
キッズスペース:あり
グランドオープン:2022年1月15日