後輩マネジャー4人と一緒に掃除する山内さん(中央)=鳴門市の鳴門高校グラウンド

 「絶対甲子園へ連れて行く」。鳴門高野球部の3年生10人は、同級生のマネジャー山内理沙さん(17)に口癖のように言い続けてきた。約束通り徳島大会を制し、マウンドで歓喜の輪を作る選手たちをベンチから見つめ、「ありがとう」とつぶやいた。

 山内さんは、野球少年だった兄の影響で幼い頃から野球に興味があった。大麻中(鳴門市)1年の夏には、甲子園で鳴門高の全4試合を観戦した。その際にグラウンドで選手より先に動き、飲み物などを準備するマネジャーの姿が印象に残った。「かっこいい」。高校に入ると、迷わず野球部のマネジャーになった。

 入部後、他のマネジャー4人と一緒に監督室の掃除をしたり、氷のうを作って選手に渡したりする日々が続いた。唯一の同級生だったマネジャーが1年冬に退部。「悩みを相談できる相手がいなくなり寂しかった」と心細さを感じながらも、悩んだ時は同級生の部員に支えられて乗り越えてきた。

 最上級生となった昨秋からは、4人の後輩を束ねる。2年の乾彩花さん(17)と西内詩織さん(17)は「何でもできて優しく、頼りになる先輩」と口をそろえる。

 5人は徳島大会に合わせて部員40人分のお守りを作った。ユニホームをかたどった生地に部員の名前を縫い付け、大会が始まる数日前に「頑張ろう」と言いながら全員に手渡した。

 三浦光翔主将(17)は「いつも素早く動いて支えてくれる。キャラクターも良く、チームには欠かせない存在」。山内さんとは誕生日が同じ8月23日で、毎年菓子やジュースを贈り合ってきた。「今年は甲子園での勝利をプレゼントしたい」と意気込む。

 徳島大会決勝後、同校グラウンドでもう一つの表彰式があった。森脇稔監督が山内さんを呼び出し、「おめでとう」と言いながら、選手と同じ金メダルを首に掛けた。山内さんの自室には他にも多くのメダルが並ぶが、「このメダルが一番うれしかった」。

 甲子園でもベンチに入り、チームをサポートする。「選手が気持ち良くプレーできるように支えたい」。高校生最後の夏はこれからが本番だ。