徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

予防接種の中には国が法律で定めて実施する「定期接種」と、本人や保護者の責任で行われる「任意接種」があります。任意接種だから重要ではないと言う訳ではありません。

定期接種には破傷風、ジフテリア、百日咳、ポリオ、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)、肺炎球菌、麻疹、風疹、日本脳炎、結核、水痘が含まれます。

任意接種にはB型肝炎、流行性耳下腺炎、ロタウィルス、インフルエンザがあります。

これらの疾患で重要でないものは一つもありません。中でも重要なのは麻疹と風疹です。麻疹を日本から排除すること、風疹を予防して先天性風疹症候群の発生を予防することが当面の目標です。  風疹の症状は発熱と発疹が主な症状で、比較的軽症に終わることも多いのですが、一部に血小板減少性紫斑病や脳炎を合併することがあります。特に妊娠初期の女性が風疹に罹患すると胎児が風疹に罹り先天性風疹症候群となることが知られています。

現在、小児の多くは風疹に対する免疫を持っていますから小児の間で大きな流行は見られません。風疹の流行は20~30歳代の若年層に見られ、特に男性が流行の中心です。

元々、風疹ワクチンは中学生女子のみに接種されていました。その後男女共に接種の対象になりましたが、個別接種になり、そのワクチン接種率は十分高くなりませんでした。このような風疹に対する免疫を持っていない世代を中心に風疹が流行しています。

風疹は数年毎に流行して、その度に先天性風疹症候群が発生しています。男女を問わずにワクチンで免疫をつけることが大切です。