徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

子どもが生まれて最初に受ける予防接種のひとつがヒブワクチンです。ヒブはヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)の略で、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因の中で最も多い細菌です。ヒブワクチンのお陰で髄膜炎が随分減少していると言われます。今月はヒブについて基本的なことをお話しします。

インフルエンザ菌は小児の細菌感染症の原因菌として重要です。元々この細菌はインフルエンザの流行時期に患者の喀痰から分離された細菌で、初めはインフルエンザの原因と考えられインフルエンザ菌と名付けられました。現在、インフルエンザがウィルス疾患であることは誰でも知っています。しかし後にこのインフルエンザ菌が臨床的に大変重要な意味を持つことが判明しました。

インフルエンザ菌は乳幼児の細菌性髄膜炎の原因菌の中で最も多いことが知られています。さらに呼吸器系の感染症、気管支炎や肺炎など下気道の感染症の原因として、また中耳炎や副鼻腔炎など耳鼻科領域感染症の原因菌としてもよく知られています。

インフルエンザ菌は莢膜の有無によって有莢膜型と無莢膜型の2種類に分類されます。莢膜を有するタイプはその血清型によってaからfまで6種類のタイプに分類され、中で最も病原性の強いのがb型、つまりヒブです。ヒブの莢膜多糖体に対する抗体がヒブに対する感染予防に役立つとされます。この抗体は大腸菌など他の細菌に接することでも獲得されますから、年齢が増すごとにヒブに対する抵抗力も増すことになります。

このことからもヒブによる髄膜炎など重症の感染症は乳幼児期に多いことが判ります。