訓練競技会で5位入賞した川上さんとパートナーの介助犬・あさひ=東みよし町昼間の自宅

訓練競技会で5位入賞した川上さんとパートナーの介助犬・あさひ=東みよし町昼間の自宅

 多発性硬化症のため車いす生活を送る色鉛筆画家川上和彦さん(56)=東みよし町昼間=が、パートナーの介助犬・あさひと共に、飼い主の指示に犬が正確に従うかどうかを競う訓練競技会に出場し、5位入賞した。新型コロナウイルス禍で介助犬の普及を目的にした講演活動が減ったのをきっかけに、新たな挑戦を開始。「一般の人と同じ土俵で結果が得られて大きな自信になった」と喜んでいる。

 川上さんとあさひ(雌、ラブラドルレトリバー、6歳)が出場した競技会は、昨年11月に藍住町の名田橋下公園で開かれた。「ラリーオビディエンス」と呼ばれる競技で、コース上に「停座」「回れ右」といった課題を記した複数のパネルを配置。競技者は犬と各課題を順番にこなしてコースを進み、時間内のゴールを目指した。

 川上さんとあさひはビギナークラスに参加し、県内外の11組と競った。ジャパンケネルクラブ(東京)の正式課目として行われ、犬の動作の正確さなどが審査された。

 これまで川上さんは月に数回、県内の小学校などに出向いて介助犬や自身の経験を伝えていたが、コロナ禍で活動機会が減った。代わりにできることがないか、あさひのトレーナーを務めるNPO法人ボランティアドッグ育成センター(板野町)の賀川比路さん(32)に相談したところ、2021年12月にラリーオビディエンスを紹介された。

 昨年1月から賀川さんが月1回程度、川上さん宅を訪れて競技の内容を説明。指示通りにあさひが動くよう、訓練を重ねた。

 川上さんは「あさひも自分もパネルに記した指示内容を覚えるのが大変だったけど、訓練を通して互いの絆が強まった。あさひは練習より本番に強いことも分かった」と振り返った。

 12月2日、東みよし町の小学校で約3年ぶりの講演に臨んだ。18歳で発症して01年に両足がまひし、車いす生活を送るようになった経緯をはじめ、06年から15年まで一緒に過ごした最初の介助犬・たんぽぽとの死別、17年のあさひとの出合いなどに加え、競技会に挑戦した経験を語った。

 「新しい自分とあさひを知ってもらいたいとの気持ちが強くなり、活動に弾みがついた」。コロナ禍で得た新たな自信を胸に意欲をみなぎらせている。