徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

子どもが生まれて初めて熱を出す時の原因疾患として多いものに突発性発疹症(突発疹)があります。突発疹は発熱以外に特別な症状がなく、発疹が出るまで診断の決め手になる症状に乏しい疾患です。初めての発熱に対していたずらに不安を掻きたてることは避けるべきですが、不必要な治療は極力避けたいものです。今月はありふれた発熱発疹性疾患である突発疹について考えてみました。

突発性発疹症の原因ウィルスはヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6)です。主な感染経路は母親などの既にHHV-6に感染した成人の唾液に排出されるウィルスの水平感染によると考えられています。母体から移行したHHV-6抗体が消失する乳児期後半に発病するものと考えられています。

突発疹は10~14日間の潜伏期間を置いて発病します。約3日間発熱して、解熱の後に発疹が出現します。発疹は顔または体幹部に見られ、小丘疹や紅斑の形を取り徐々に広がります。この疾患の診断はほとんどが典型的な臨床症状によってなされます。特別な決め手になる症状や検査所見はありません。

突発疹に罹った乳児は熱の割に機嫌も良く、食欲もあり、多くの児は特別な治療なしに自然に軽快します。しかし本症の中には熱性けいれんを起こすことや、まれに脳炎・脳症の発生を見ることがありますから注意深く観察する必要があります。

生まれて初めての発熱を来す突発疹は小児にとってとても大切な疾患です。