徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
突発性発疹症(突発疹)は乳児が生まれて初めて熱を出す時の原因疾患の代表として知られています。突発疹の原因ウィルスはヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6)ですが、よく似た経過をとるものにヒトヘルペスウィルス7型(HHV-7)があります。
突発疹に2回罹ったと言う話を時々聞きます。これはおそらくHHV-7によるものと思われます。HHV-6による突発疹の好発年齢は4~18か月であり、HHV-7の初感染は2~4歳頃と遅れることが知られています。従って、2回目の突発疹の原因ウィルスはHHV-7であると考えられます。
突発疹の発熱時にはウィルス血症が起こっていると言われます。ウィルスは解熱と同時にすみやかに血液中から消失します。従って、発疹があっても解熱していれば児の体からウィルスが他児に伝染する恐れはありません。普通、突発疹は成人からの水平感染ですから季節的な流行はありません。集団内で子ども同士のうつし合いもほとんどありません。
しかし感染症サーベイランスの結果を見ると、夏季には突発疹の報告数が増加します。これは夏季にはエンテロウィルスが流行します。エンテロウィルスの中には突発疹によく似た発疹を示すものがあり、臨床経過や発疹からは突発疹と区別の難しいものが沢山あります。また突発疹の中には発熱だけで発疹の無いものや発疹だけで発熱の無い場合もあります。HHV-6による突発疹はほとんど2歳までに水平感染をして典型的な突発疹の臨床像を示さなくてもHHV-6に対する抗体を獲得すると考えられます。