徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
子どもの数が少なくなると育児経験者も少なくなりますから、経験者からの適切な助言が少なくなります。特に出産後、産院を退院してから1か月健診までの間に子どもの些細な症状について悩んでいる人が沢山居ます。
新生児の心配事で最も多いのは授乳や体重についてです。十分母乳を飲めているのか、不足はないのか、ミルクを足す必要はないのか、反対に飲みすぎているのではないか、太り過ぎではないのか、様々なことが心配になります。産科入院中には哺乳量の測定や体重測定を毎日していますから、これを基に助言することも出来ます。退院後は母乳が出ているのか、十分飲めているのか、ミルクを足す必要があるのか、すべてを自分で判断する必要があります。
授乳や体重の増加以外にも些細な症状で心配になることがあります。黄疸、あせも、湿疹、かぶれ、蒙古斑や血管腫などの皮膚症状、ゲップやしゃっくり、嘔吐、水様便や便秘、便の色などの消化器症状、臍からの出血、臍ポリープ、臍ヘルニアなど臍に関する事、目やにや涙目、夜眠らない、眠りが浅いなど睡眠の問題など様々なことが心配になります。
このような症状の中には実際に病気として治療が必要なものもありますから小児科医の診察が大切ですが、明らかに些細な症状として様子を見るだけで良いものも少なくありません。
出産後の女性は不安定で他人のちょっとした一言で落ち込むことがあります。育児は実際にしてみて初めてその大変さが分かります。書物やネットでの知識だけでは育児は出来ません。子育てを支援するのも小児科医の大切な仕事です。