「全国大会出場に向けて頑張っています。新メンバー大募集中。興味のある方はホームページからお問い合わせください」。

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【ソフトボール】鳴門クローバーズ
 佐々木栄治さん(38・鳴門市出身)

 中学1年から白球を追ってきた。始まりは「いつも一緒に遊んでた地元の先輩がソフト部に入ったから僕も入部しただけなんです」。しかしそこは全国大会で準優勝するほどの強豪だった。スポーツ推薦で徳島東工業高(現・徳島科技高)へ進み、3年連続インターハイへ出場。大学は、福岡大から声がかかり、アスリート特別選抜のセレクションに挑戦した。「自分がどれくらいの位置か知りたかったし、記念に受けてみようくらいの気持ちだったんです。当日は今思い返しても人生で一番の大当たりの日で。バットを振ればホームラン、びっくりでした。“すごいのが来るぞ”って鳴り物入りで入学したんですが、そこからが大変でしたね」。周りのレベルの高さ、上下関係の厳しさ、苦労は絶えなかったが大学での4年間がその後の人生の礎になっていると話す。「人間的成長なくして技術的進歩なし。これは今も大切にしている言葉です。人に感謝するとか先を見て動くとか、部を通して社会に出ても通用する人間に育ててもらった。そういう環境で過ごせたことに感謝しています」。最終学年では、大学選抜に選ばれ海外遠征するなど貴重な経験もした。

 大学卒業後は帰郷し、約200年の歴史がある家業の佐々木農園で汗を流す。一旦はソフトボールから離れたが、30歳を目前にして「やり残したことはないか考えたとき、やっぱりソフトがしたいと思ったんです」。中学時代の仲間が所属する社会人チーム「鳴門クローバーズ」へ入部し、再びプレーするようになった。5年前からは監督業も担いながら選手としてもグラウンドに立つ。「監督なんかしたことないので、サインを出すのも精一杯。当時チームにいた先輩に意見を聞いてチームづくりをしてきました」。練習に参加できなくても自主練で筋トレしたらポイントがつくなど評価基準を明確にし、練習試合のメンバーを選出するなど「皆で話し合いながら、うまくいくように工夫してきました」。

 長びくコロナ禍で練習試合や大会ができず、チームのモチベーションが下がっていたことは否めない。離れたメンバーの呼び戻しや新加入を募りここから仕切り直しを図る計画だ。また、選手としては新たな発見があった。「コロナで人が集まらないので、ピッチャーの練習を始めてみたんです。これまでピッチャーができないコンプレックスがあって。やってみると、とにかく難しい。YouTubeで研究して練習に来て試して。できないけど、それがまた面白い。ずっとソフトをやってきて、もう伸びしろはないと思ってたけどここにあった(笑)。ピッチャーの練習をすればするほど自分が成長してるのがわかる。これまでとは違う視点で見えることがあったり、今まで積み重ねてきたことにプラスαされることなんかがあって。これはなかなか面白いアプローチやなと。最近はキャッチャーもやり始めて、さらに新しい発見がいっぱいなんです」。充実した表情で話す佐々木さん。来春の公式戦に向け、チームづくりはもちろん、選手としても力をつけていきたいと前を向く。