「お客さんに美味しかったと言ってもらえることが何よりのやりがい。やってて良かったなと思います」と上田さん。

「お客さんに美味しかったと言ってもらえることが何よりのやりがい。やってて良かったなと思います」と上田さん。

【農業】うえだ農園
 上田岳志さん(52・長野県出身)

 一年を通していちごを栽培する、東みよし町のうえだ農園。冬から春は昼間地区でアスカルビーと恋みのりを、夏から秋は標高1000mの水の丸高原でサマーアミーゴを栽培する。代表の上田さんは、大阪で機械設計や修理・保守管理をするエンジニアとして二十数年間、腕を振るった。田舎暮らしがしたいと東みよし町に移住したのが2014年のこと。「いちごが周年栽培できると知って、いちご農家として新規就農したんです。嫁さんがいちご好きというのもあったかな」と微笑む。

 空いていたハウスを借りて整備し直し、先輩農家のアドバイスを受けながら栽培を開始。「1、2年目は悲惨でした。病気や害虫にやられてることに気づかず廃棄がたくさん出て。いろんな失敗を重ねて3年目から少しずつプラスに転嫁しました。ネットに情報は溢れてるけど、結局は自分で経験しないとわからない。いちご組合の組合長が定期的に指導に来てくれて何とかやってこれました」。徐々に面積を拡張し、現在は山の上に1300平米、下に1000平米を構える。

 水の丸いちご部会には13軒の農家が加入し、グループLINEを作って情報を共有している。「新しい資材や肥料など情報交換してます。共存共栄という意識が強い」と話す。一方、地域では高齢化が進み、いちご農家が減少している。今後の課題はいかにして次の世代へバトンを渡すかだと上田さんは力を込める。「新しい人が始めやすいように就農独立プログラムを作ろうとしているところ。できるだけ負担を減らして稼げる仕組みづくりをしたいです。いちごの周年栽培発祥の地として、その灯火を消すわけにはいかない。東みよし町のいちごは本当に美味しいですから」。

 いちごはうえだ農園のHPから購入できる。